今回、国立台湾大学に通う学生(台湾留学JP卒業生)にコロナによる影響について聞いてみました!!
①台湾での生活はコロナ前と何か変化はありましたか?
コロナウイルスの感染が台湾でも確認されるようになった頃からマスク着用、検温、消毒が公共交通機関から小さな店まで至るところで義務付けられるようになりました。お昼ごはんを食べようとお店に入ったときには店員さんがわざわざ入り口から消毒液の入ったスプレーを持ってきましたし、マスクを忘れて近所のスーパーに入ろうとしたときに「マスクつけてから入って!」と注意されたこともありました。
台湾人はコロナ対策に対して意識が高く、人が密集しやすい公共施設等は当然マスク着用が義務付けられていたので、そういった場所ではマスクを付けていない人を見かけるということはありませんでしたが、その頃は大学の教室や図書館、普通の道などマスク着用が義務付けられていない場所でもほとんどの人がマスクをつけていました。現在はコロナウイルスの国内での感染は全くと言ってもいいほど発生しなくなり、ある程度感染が落ち着いたからか、マスク着用が義務付けられていない場所や人の少ない場所ではマスクをつけていない人も割と見かけるようになりました、授業中の教室だけ見るとほとんどコロナウイルスが確認されていなかった頃と変わらないように見えます。
コロナウイルスが流行していた頃はそういった変化に対して少し不便だなと思っていましたが、結局はその程度の変化でした。今はマスクを外していても白い目で見られることはほとんどなく、他の国と比べると比較的快適に暮らせているなと感じています。
コロナ対策で大学の建物に入る際に学生証のスキャンが必要だった時の写真です。
②大学での授業の変化はありましたか?
新型コロナウイルスが世界中で本格的に流行り始めた頃、僕たち台湾留学生は2学期が始まろうとしていた頃でした。大学側は比較的早い段階でコロナウイルスに対する措置として「100人以上の生徒が参加する講義は原則オンラインで行うこと」を発表しました。僕がそのとき受けていた授業にも該当するものがあり、その授業は結局初めの数回の授業を除き、全てオンラインの形で授業をしました。
それからしばらく経つと「通常の教室に複数人が集まることでソーシャルディスタンスが保てなくなる場合は教授の判断でオンラインに移行できること」が決まりました。当時から台湾のコロナ対策はしっかりしていましたが、それでも他の大学院等で感染者が見つかることがあったので、クラスターを防ぐためだったのかもしれません。教室の広さに対して生徒数が少ないという授業はあまりないのでほとんどの授業がオンラインへの移行の条件を満たしていましたが、教授の判断で教室での授業を続行する授業、オンラインに移行する授業などそれぞれの判断はまちまちでした。僕の場合は取っている授業の半数近くがオンラインになりました。
台湾大学もオンライン授業は想定していなかったようで、オンライン授業のためのツールがあったわけではありませんでしたが、NTU Coolという大学関係者用のサイトに授業の動画あげたり、Zoomで教授とビデオ通話をしたり、YouTube Liveの限定公開機能を使って授業を放送するところもあり、日本と同様に手探りしながらといった感じはありました。しかし、毎授業討論がある授業では討論だけをする日を事前に決めて、基本はオンラインで教授が授業をして特定の日に集中的に討論をする等の方法を採り、感染リスクを下げながら授業の質を上手く保っている授業もありましたし、動画の閲覧履歴で出席を確認している教授もいたので、コロナ禍の中でも比較的上手くやっていたと思います。但し授業の中にはどうしてもそういった回避策を採ることができず、生徒が不満を感じた授業もあったと思います。
③コロナの影響を踏まえて、台湾の大学に進学していて良かったと思う事はありますか?
良かったなと思ったことはいつもと変わらない生活が送れていることです。コロナウイルスの発生が確認されてから1年が経とうとしていますが、この1年間で台湾での生活はほとんど元通りになろうとしています。オンラインで行われていた授業も今では普通に大学の教室で受けられるようになり、手の消毒を義務付けている施設も多くはなくなりました。勉強だけが大学生の本分ではありませんが、「コロナウイルスの影響で授業の質が…」、「質が低い授業に金を払いたくない」、「退学して働こうか悩んでいる…」といった日本の学生の話を聞くと今の自分たちの環境は恵まれているなと思います。
現在の授業の様子です。ほぼコロナ前に戻りました。
④台湾と日本のコロナ対策についてどう思いますか?
日本よりも状況が悪化している国も少なくはないので、決して日本のコロナ対策が全くもって良くないとは思いませんが、それでも台湾のコロナ対策に比べては引けを取ると思います。
台湾政府の対応は早い上に的確だったと思います。日本ではマスクの品薄や転売が深刻な問題となっていましたが、台湾政府はそれを見越して政府がマスクを買い取り1人当たりの購入数に制限をかけることで、流通量をコントロールし品薄になることを回避しました。それと同時に毎日コロナに関する適切な情報を報道し、マスクの着用やうがい手洗いなど感染予防策を呼びかけました。海外からの入国にも制限をかけ、入国した人に対してもしっかりと監視を行いました。そのおかげで台湾が今7ヶ月以上国内での新規感染事例は確認されていません。
一方日本では未だ新規感染者が毎日確認されています。台湾での感染対策を踏まえると日本の感染対策に足りなかったのは厳格さ、ルールを明確に表記してそれを守れないひとはしっかりと罰する、こういったことだったと思います。例えば海外から入国した人の隔離についてですが、台湾はそういった人を厳格に管理していたのに対して日本はとても管理が甘いと聞きます。台湾政府は先月、市内ホテルで隔離中だったフィリピン人が別の部屋の知人に物を渡すために無断で部屋から出た8秒間を見逃さず、彼に36万円の罰金を課しました。日本でも台湾同様2週間の隔離が義務付けられていますが、隔離1週間で家から出たけど何も言われなかったし、ペナルティもなかったという話を聞いたことがあります。実際に日本政府が初めの頃直接講じた対策はそのほとんどが呼びかけ、或いはお願いといった形で行われ、それを無視した際のペナルティもありませんでした。日本にも先程の台湾ような過去の事例があり、それが多くの人に知られていれば、少なくともその人たちはルールを破ろうとはしないと思います。これは日本のコロナ対策の1つの大きな問題点であると思います。
ですが、大規模感染症を経験したことがない日本人が感染症に対する意識が低いのも事実です。僕が日本に帰った夏の頃にもマスクをつけていた人は多くいましたが、マスクの着用だけで満足せず、うがい手洗い、人の密集しやすい場所を避けるといった基本的なことを1人1人がしっかりを守っていくことが大切だとも思います。
Opmerkingen